京都在住

毎日観光がしたかったので京都に引っ越しました。写真とかをアップしたりします

御蔭祭に参加したときのこと

5月12日に、ご縁がありまして下鴨神社で執り行われる御蔭祭(みかげまつり)に参加してきました。はい、見学じゃなくて、参加です。

NHKさんのところで、動画がいつまで公開されているのかわからないのですが下記を見てみてください。

www3.nhk.or.jp

この動画の1分10秒ぐらいのところで、ながーーーーーい朱色っぽい布でくるまれたものを運んでいる人が、私です。テレビに映るぐらい重要な役目でした。

この運んでいるのは、下鴨神社の神宝である『御弓』(おんゆみ)です。前の人が持っているのは『和琴』(わごん)です。最初「わごんを……」って口頭で言っているのを聞いたときには「車……?」とか思ったりしました。琴でした。

御蔭祭とは何なのかといいますと、毎年5月15日に執り行われる葵祭の3日前に行われるお祭りです。比叡山の麓にある御蔭山の御蔭神社で、新たに生まれた御霊(神霊)を下鴨神社まで迎えるという神事なのです。ようは、神様を下鴨神社まで運んでいくのですね。日本最古の神幸列(しんこうれつ、神様が祭事などで余所へ赴く行列という意味)と言われています。

当日の流れなのですが、まずは下鴨神社に集合して、平安装束に着替えます。

白衣を着て、袴をはいて、直垂(でいいのかな?)をかぶる。というものなのですが、お役目によって細かく違っていたりします。我々は神宝を運ぶ役目だからか、わりとしっかりした布でした。具体的には、直垂がとても厚くて暑い。その代わり、たくさん歩き回るからか草履は簡易的な裏面がゴムの奴で山登りも楽でした。あと素手で神宝を触ってはいけないので、親指だけ指が出ている手袋を装着します。これがまた地味に暑かった。

隣で神宝に傘を差してくださる方々は、直垂が麻でできてて涼しげで。袴も少し短く、足下は草履と言うよりも草鞋といった塩梅です。色もお役目によってわかれていましたね。それで行列の順番が混乱しないようになっています。

お祓いを受けて、我々は神宝を受け取り、出発。その出発の模様が、先ほどのNHKの映像というわけです。

途中ちょっと車というかバスで移動するのですが、他の傘とか矛とか盾は専用のトラックで運搬するのに対し、神宝は別でして。やはり、他のものと一緒くたにしてはいけないのでしょう。あの3メートルぐらいある御弓とバスの中でも一緒でした。人が座れるよう、神宝が揺れたりしないように取り扱うの、結構難しい。

そうして御蔭山についたら、山登りです。

もちろんこのときも御弓は持ったまま。木に当てたりしたら大変なことに……とか、ここで転んで地面に御弓をつけたら大変なことに……というプレッシャーにさらされながらなんとか登りましたとも。

山頂にある御蔭神社に到着したら、お昼ご飯です。このときは10時半ぐらいだったかな。ちょっとお早い。

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ここでなんと、御神酒が配られるのですよ!!

御神酒ですよ!!

ありがたいですね。御利益ありそうですね。

さすがにこの後も神宝をお運びしなければならないし、登った山は降りなきゃいけないので、そのときに酔っ払っていたら大変だから飲まずに持って帰りました。えらいですね。

でも当然、鞄とか持っていないわけです。じゃあどうするか。あの平安装束のたもとに入れるしかないんですよ。これがまあ、つらかった。以後は全部たもとに御神酒が入った状態で御弓を持ったりしなければならなかったわけですから……

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ご飯を食べた後は我々もしっかりとお参りです。

ちなみにこの間は、御弓をたてかけるところに預かってもらえます。さすがにあの長さのものを持ちながらご飯を食べるのは難しい。

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この一番左の布にくるまれているのが御弓です。

そうして、12時ぴったりになると神様をお迎えする儀式が始まります。

これも正確には、下鴨神社の祭神の和御魂が、御蔭神社で生まれた神霊と一体となって新たな荒御魂となって生まれ変わり、それを御神櫃に移してお迎えするという儀式だそうです。なぜ伝聞かというと、我々はこの儀式が行われている間は神幸列の待機中で見ることができず、ひたすら御弓を支えながら「かすかに声がきこえる……」と推測することしかできなかったからです。

そうしてお迎えした荒御魂と一緒に向かったのが、賀茂波爾神社(かもはにじんじゃ)、別名赤ノ宮神社。ここでも神事が執り行われます。これが路次祭で、あるところへ行く途中の道という意味なので、下鴨神社へ行く途中のお祭りという意味でしょうか。

ここでの神事もしっかりと見ることができませんでした。

というのも、しっかりとしたトイレがある貴重なトイレ休憩タイムなんですよ!

あの平安装束でトイレってどうやるのかと思った方もいるでしょう。一応袴の所のお尻のところに穴があって、そこから用を足せるようになっていました。ただ、かなりなんというんでしょう、真下の位置なので、小用を足す人はがに股になったりちょっと足を上げたり思い思い工夫をしていたようです。もっと大変なのが大きい方でして。念のためいっとくかみたいな軽い気持ちでトイレの個室に入ったものの、結局どうやるのかわからなかったので、一度ほとんど脱いで用を足すしかありませんでした。再度着付けてもらいました。

そうして賀茂波爾神社を出発したあとは、宝ヶ池公園へと移動。ここから下鴨神社まで神幸列です。

さすがに道路を完全封鎖とはいかず、1車線だけを使ってしずしずと歩いて行ったのですが、途中で警官さんが「車入りまーす」と言って行列を開けさせて車を横道に通したりしながらでした。あんな規模で交通を止めるのは葵祭のときだけみたいですね。

途中、洛北高校で水飲み休憩があり、水分補給。

うわっ、高校に普通に馬が入っていった! とかわけもなく興奮したりもしていました。

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生徒さんも写真とか撮りまくっていたけれども、放課後だったのかなー。

そうしてまた出発し、河合神社側から入って下鴨神社へ到着。この河合神社前で、最後の水休憩というか、お水を配られます。ただ、もう終わりだと思っていたのと、御弓で両手がふさがっていなかったので受け取らず、あとちょっとだけ我慢しようと思ったらこれが大間違い。

到着して報告して終わりかなと思ったら、実はこれからが本番でした。そう、下鴨神社へ荒御魂を迎えた喜びを表す切芝神事が始まったのです。

そのときの模様は京都新聞さんの記事を見てもらって。

新たな神霊に雅やかな舞 京都・下鴨神社で御蔭祭 : 京都新聞

見えますかね。

写真の奥の、中央よりちょっと右に、赤いながーーい棒みたいなものが。それが御弓であり、支えているのが私です。はい、まさか、あんな重要な位置に座るとは思っていませんでしたとも。なんとしてでも水をもらえばよかった……

ちなみに御弓を地面につけるわけにはいかないので、椅子に座り、膝の上で支えたりしていました。ときどきふらついていたのはご愛敬。

この模様は、もしかするとこの番組でそのうち放送されるかもしれません。

www.bs4.jp

というのも、遠目に見ても、近くで見ても、どうみても船越英一郎さんが観覧席にいらしたのです。船越英一郎さんが出てくる京都の番組に出てくるんじゃないかと。

そうして、重要なお役目を果たしつつ、荒御魂を迎えた喜びを表す舞楽「東游」(あずまあそび)を見て、切芝神事が終了。

本殿へと行き、御弓をお返ししてお役目終了です。おつかれさまでした。

御蔭祭を見るのだったら、早朝の出発時か、この最後の切芝神事をそれぞれ下鴨神社で見るのがいいと思います。早朝はやっぱり人がすくなくて、しっかり見ることができます。NHKさんが撮っていたのは、さすがとしかいいようがありません。でも、見られる距離はちょっと短めです。

というわけで、神事に参加したのでした。楽しかった!